法人が保有する在庫資産の売却は、単なる資産の処分にとどまらず、税務や会計処理において重要な意味を持ちます。
特に、事業の状況変化や戦略の見直しに伴い、保有する在庫資産を整理・売却する機会は少なくありません。
その際に、適切な税務処理や評価方法、会計上の手続きを理解しておくことは、予期せぬ税務リスクを回避し、適正な財務報告を行う上で不可欠です。
今回は、法人在庫資産の売却に際して知っておくべき税務のポイントと、評価・会計処理における留意点について解説します。
法人在庫資産の売却で知るべき税務
法人が保有する在庫資産を売却して利益が生じた場合、その利益は原則として法人税の課税対象となります。
これは、事業活動によって得られた所得として、法人の益金に算入されるためです。
売却益は、売却価額からその資産の帳簿価額(原価など)を差し引いた金額となります。
特に注意が必要なのが、「みなし譲渡」による課税ケースです。
これは、資産を無償または著しく低い価格で譲渡(売却)した場合に、実際の取引価額ではなく、その資産の時価で譲渡されたものとみなして税額を計算する制度です。
法人が保有する在庫資産を、例えば役員や関係会社に時価よりも著しく低い価格で売却した場合、本来得られたはずの利益(時価と譲渡価額の差額)が税務上、譲渡益として課税される対象となる可能性があります。
これは、本来課税されるべき所得が表面化しないままになることを防ぐための規定です。
このようなみなし譲渡のケースでは、実際の対価の授受が少ない、あるいは全くないため、申告漏れが発生しやすいというリスクがあります。
税務調査で発覚した場合、本来納めるべき税金に加え、過少申告加算税や延滞税といった追徴課税が課される可能性も否定できません。
法人在庫資産の売却にあたっては、時価との乖離がないか、あるいはみなし譲渡に該当する取引ではないかなどを慎重に確認し、適正な申告を行うことが重要です。
不明な点がある場合は、税理士などの専門家に相談し、適切な手続きを進めることをお勧めします。
法人在庫資産売却時の評価と会計
法人在庫資産の売却に際しては、その資産の評価方法と、売却時の会計処理が重要となります。
棚卸資産の評価方法には、いくつかの種類があります。
代表的なものとしては、「個別法」「先入先出法」「平均原価法(総平均法、移動平均法)」「売価還元法」などが挙げられます。
また、期末の時価が取得原価よりも著しく下落している場合には、「低価法」を適用して、帳簿価額を取得原価と正味売却価額のいずれか低い方で評価することもあります。
これらの評価方法は、期末の棚卸資産の帳簿価額を決定する基準となります。
在庫資産を売却する際には、その資産の売却価額と、上述の評価方法によって算出された帳簿価額との差額が、売却損益として認識されます。
例えば、帳簿価額が1,000万円の在庫資産を1,200万円で売却した場合、200万円の売却益が発生します。
逆に、800万円で売却した場合は200万円の売却損となります。
この売却損益を、適切に会計処理する必要があります。
売却によって生じた損益は、原則として、法人の所得計算に算入されます。
売却益は益金として、売却損は損金として、法人税の申告に反映させることになります。
会計処理においては、棚卸資産の評価方法の選定や、売却時の損益の計上時期などを正確に行うことが求められます。
特に、評価方法を変更した場合や、特殊な状況下での売却においては、専門的な知識が必要となることもあります。
まとめ
法人在庫資産の売却は、単なる在庫の処分ではなく、税務および会計の両面で重要な意味を持つ手続きです。
売却によって生じる利益は法人税の課税対象となるだけでなく、無償または著しく低い価格での譲渡は「みなし譲渡」として時価評価され、予期せぬ税負担や申告漏れのリスクを招く可能性があります。
そのため、資産の適正な評価方法に基づいた帳簿価額の把握と、売却時の損益を正確に認識し、適切に会計処理・税務申告を行うことが不可欠です。
複雑な判断を伴う場合やリスクを回避するためには、税理士などの専門家への相談を積極的に活用することをお勧めします。
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